レオナルド・ディカプリオの製作会社アピアン・ウェイのジェニファー・デイヴィソンは、本作のプロデュースに乗り出した理由をこう語る。「レオナルドと私が惹かれたのは、脚本のオリジナリティや、普遍的なテーマに対する新鮮な解釈よ。そこが当社の方針にもぴったり合っていたの。ゴッサムシティがバットマンを必要としていたために、図らずもヒーローになったブルース・ウェインと同じく、ロビン・フッドもノッティンガムが必要としていたのね」
さらに、デイヴィソンは続ける。「自分たちが関わる作品で、レオナルドと私が最も重視していることの1つが、『これは特別な作品だ』と感じられることや、なんらかのユニークな点があることなの。この映画は非常に今日的でパワフルな作品だったわ。ロビン・フッドの伝説でお馴染みのキャラクターたちが顔を揃えているけれど、彼らを今の私たちの生活というレンズを通して見ることになる。それがこの映画を特別なものにしているの」
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ロビン役に選ばれたタロン・エガートンは、『キングスマン』シリーズで演じた颯爽としたスーパースパイ役で、巧みなアクションと反骨精神を秘めたユーモアを融合させる、類まれな才能を既に証明している。
オットー・バサースト監督は、神話のキャラクターのように見られるロビン・フッドという役を、エガートンが自分の内面に潜む不屈の精神を見出す戦士という、リアルで人間的なキャラクターに作り上げたことを、こう称賛する。「誰もが喜んで彼について行きたくなる。そんな素晴らしい魅力とウィットがタロンにはある。今回のロビンの若さで、この驚くべき革命運動を統率するのはすごいことだ。そんなことができる人間だと信じてもらえる役者は、タロン以外に考えられない」
デイヴィソンもエガートンのことを、「女性に弱いことと、弓矢の達人であること。タロンは、そのどちらも心から信じさせてくれるわ。そして、何をしていても茶目っ気を感じさせるの」と称える。
エガートン自身は、脚本を読んで、「この作品のロビン・フッドには、今の世界とのつながりをものすごく感じる」と語り、ロビンのことを自分の魂と葛藤し、自分自身が予想もしなかった情熱とスキルを見出していく男として考えるようになったという。
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昔の物語のジョンはロビン・フッドの忠臣だったが、今回のジョンは元々敵の兵士だったのが、思いがけなくロビンの師となり戦友となって、彼が“フッド”になるのを手助けする。頭が切れて物知りなジョンは、ロビンにとってライバルでもあり、インスピレーションを与えてくれる存在でもある。製作陣は、この役にオスカー俳優ジェイミー・フォックスをキャスティングした。
ロビン・フッドの伝説を一変させるチャンスに惹かれて参加したフォックスは、「今までとは違うものを期待してほしい。今の時代を感じさせる最高の映画だ。驚異的なスピードで飛んでいく弓矢や、カーチェイスさながらの馬での追走劇といった現代的な要素がすごく気に入っている」と胸を張る。
セットでは、フォックスとエガートンがごく自然にからかい合い、粋なジョークを言い合う仲を築き、それをジョンとロビンの役に反映させながら、息をつく間もないほどのアクションの中で切磋琢磨していった。フォックスはエガートンに、「『こんなことができるなんて、お前クレイジーだよ』と、しょっちゅう言っていた」と笑う。
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エガートンとフォックスは、ラーズ・アンダーソンというアーチェリーの達人の指導のもと、これまでの映画にはなかった早撃ちアーチャーを目指し、トレーニングを積んだ。超早打ちと驚異的な身のこなしで知られるアンダーソンは、「本作を見て、アーチェリーがすごくエキサイティングで、ダイナミックなものだとわかってもらえたらうれしいね」と語る。アンダーソンが特にうれしかったのは、エガートンができる限り素早く正確に弓を引けるよう熱心に取り組んだことだという。「タロンには、どんな体勢からでも矢を放つことができるようになってほしかったが、実際にそこまで頑張ってくれた」
有名な武器デザイナーであるティム・ワイルドグースは、パワーアップした独創的な弓矢を山のように作った。自動火器のように矢を放つクロスボウや、一度に30本の矢を放つことができる肩乗せ型のデバイスなどだ。他にも、金属製の矢がこめられた回転式マガジン付のガトリング式メカニカル・クロスボウ、州長官が群集を制するために使う催涙弾を発射するクロスボウ、カモフラージュされた“スナイパー・ボウ”、警棒を金属で覆った“ノッティンガム警棒”といった特製の武器が使用された。どれも見た目が恐ろしいだけでなく、すべて実際に使えるものだ。また、弓はキャラクターに合わせて、1つ1つカスタマイズされた。
美術のジャン=ヴァンサン・ピュゾは、戦いのスタート地点となる宝庫を作った。3階建てのセットの真ん中にある大きな木製シリンダーが下降していくと、地下に洞窟があり、そこに大金を積んだ馬車が定期的にやってくる。宝庫の外から始まり8分間続く追跡シーンで、セカンドユニットを率いたサイモン・クレーンは、「現代的なカーチェイスのスリルやアドレナリンやニアミスを、馬や馬車を使って表現するのが面白かった。『ベン・ハー』と『ワイルド・スピード』を足した感じだ。ロビンとジョンは建物の間を疾走し、横滑りするように角を曲がり、炎から逃れる。これまでの映画では見たこともないね」
デイヴィソンは、「私たちが真に望んでいたのは、すべてのアクション・シークエンスをこの映画特有のものにすること。だからこれまでとは違う弓矢の使い方や、馬を使ったチェイスシーンの新しい見せ方について徹底的に考え抜いた。車やバイクと同じくらいスピード感があって危険で、切迫感にあふれた現代的なシーンよ」と解説する。
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ロビンの恋人で、自立心旺盛なマリアン役に選ばれたのは、人気急上昇中のイヴ・ヒューソンだ。本作のマリアンが心から共感できる女性だったことがうれしかったとヒューソンは語る。「2人が2019年に生きる若い恋人たちと同じで感激したわ」
マリアンの愛を勝ち取ろうとする傍ら、街の指導者になろうとしているウィルを演じるのは、ジェイミー・ドーナンだ。ドーナンは、本作のスケールの大きさにワクワクしたという。「スタントや爆発、エフェクトがこんなにたくさんある映画は初めてだ。今まで経験してきたものとは全然違う」
ロビンの仲間の陽気なタック修道士は、音楽で盛り上げる独特のコメディで知られるオーストラリアのスタンダップコメディアンで、これが映画初出演のティム・ミンチンが演じる。デイヴィソンは、「私たちが求めるクールな雰囲気と破壊分子的なイメージを体現していたのが、ティムだった」と説明する。
ノッティンガムの街に君臨する情け容赦ない専制君主で、“フッド”に敵として狙われることになるのが州長官だ。彼の心の闇を深く掘り下げるのが、ベン・メンデルソーンだ。メンデルソーンは、「抜け目のない政治屋で、人を操る達人」として州長官を演じたという。
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ジョージ・スティールは、Panavision DXL6mmデジタルカメラを使って、8Kで撮影した初の撮影監督となった。スティールは、「Primo70レンズを使って6mmフォーマットのハイリゾ撮影をすることで、かなり奥行のあるフィールドを正確にコントロールすることができた」と振り返る。スティールはまた、特製の手持ちリグを持って屋根から屋根へと移動しながら撮影することで、コンバット・シークエンスのスピード感を高め、『ブラックホーク・ダウン』的な緊迫感と臨場感を出すことに成功した。
一方、ピュゾは新しいノッティンガムを1から作り上げた。様々な文化のるつぼにしようと考えたピュゾは、「フランク・ロイド・ライトやブガッティの影響もある。19世紀のゴシック・リバイバルからもインスピレーションを受けた」と説明する。
一方、ピュゾは新しいノッティンガムを1から作り上げた。様々な文化のるつぼにしようと考えたピュゾは、「フランク・ロイド・ライトやブガッティの影響もある。19世紀のゴシック・リバイバルからもインスピレーションを受けた」と説明する。
4カ月にわたり3カ国で行われた撮影は、ユネスコの世界遺産に登録されているクロアチアの歴史的な街ドゥブロヴニクから始まった。現在は使われていない3階建ての穀物倉庫が、ロクスリーの館として使用された。また、ロビンとマリアンが忍び込む仮装パーティが開かれるノッティンガム宮殿の外観には、13世紀に建てられた要塞のような聖ドミニク教会が使用された。
衣装のジュリアン・デイは、嬉々として規則破りのノッティンガム・ファッションを作り上げ、“モダン・メディーヴァル(現代的中世)”と名付けた。近未来的なエッジが効いているものの、しっかりと現実に根差した衣装だ。デイとスタッフは、衣装の95%近くを手作りした。ロビンの衣装と頭巾に関してデイは、「マーロン・ブランドが着ていたようなバイクジャケットと、侍が戦のときに着る装束とを合わせたようなものを作った」と解説する。
その他、サラセン軍兵士たちのブルーの軍服は、北アフリカのトゥアレグ民族の衣装を元にした。ノッティンガムの炭鉱夫たちの作業服は英国空軍1945年モデルの飛行服を、代官の兵士たちには台湾特殊警察の制服を参考にした。
バサーストがこう締めくくる。「僕らはできる限り現代的でリアルで、観客が自分と作品との繋がりを感じられる映画を作った。歴史的に正確なもの、これまでのバージョンに忠実なものでは全くない。このロビン・フッドは、金ぴかの額に入れた過去を見せたりしない。これは今の時代のストーリーだ」
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